【第8章:ダンゴの沈下速度】

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»沈下速度:ゆっくり沈める場合、速く沈める場合
»沈下速度:調整するには?
»早く沈めたいときは、竿先とウキの間の道糸を持ち上げる
»ダンゴが中層でつつかれているか知る方法
   





質問

 沈下するダンゴのスピードが釣果に関係しますか?

回答

 関係します。夏や秋の盛期ならば速い沈下スピードで、春や冬の低活性期ならばゆっくり遅い沈下スピードにした方がよく釣れます。

やさしい?解説

 

・ダンゴの沈下速度


 まず冬や春の低活性期を想定して解説します。
 ダンゴの沈下スピードが遅ければ、それだけクロダイに視覚のアピールができます。紀州釣りは詰まるところ、海底に沈下したダンゴにクロダイを引き寄せなければ釣れません。可能ならばクロダイがダンゴを噛み砕くくらい近づいてほしいのです。

 しかし冬や春の魚は低活性で、クロダイも動きが鈍いです。中には仮死状態の個体もいます。だから速いスピードでダンゴを沈下させるとクロダイが興味を持って近づいてくれません。

 落とし込み釣りをする人ならばわかると思いますが、低活性の時季ほどエサをゆっくり落としてアピールしなければ釣れないのです。

 理想的なスピードとして、毎秒6センチ前後のスピードで沈下する物体にクロダイは最も興味を持つと言われています。(昔のちぬ倶楽部の記事をうろ覚えで参考にしています) この沈下スピードは、ちょうど生のオキアミをそのまま海に沈めたときのスピードより少し速いくらいです。フカセ釣りをする人ならわかるでしょうが、結構ゆっくり遅いスピードです。

 また春のノッコミ期(産卵時期)は、中層に浮きやすいクロダイの性質も考慮しなければなりません。すなわち、中層のクロダイにダンゴへ興味を持ってもらい、海底へ追いかけてもらう必要があるのです。そのためにもダンゴは軽く、ゆっくり遅く沈めます。

 逆に夏や秋の高活性の時季は中層でのアピールを考慮する必要ありません。そんなことせずともクロダイは元気が良いので、時合いと共にダンゴへと近づいてきます。
 それどころか、ゆっくり遅く沈めると、中層でサバやボラにダンゴをつつかれてしまいます。そうなると中層にダンゴ材が散らばり、クロダイが中層に浮く結果をもたらしかねません。重ねて書きますが、紀州釣りは海底のダンゴへとクロダイを引き寄せなければ釣れないのです。


 こういった諸々の理由があって、本節の冒頭の回答へと帰着します。
 夏や秋の盛期ならば速い沈下スピードで、春や冬の低活性期ならばゆっくり遅い沈下スピードにした方がよく釣れます。






 

・沈下速度の調整


 ダンゴの沈下スピードは自作のダンゴ材の場合、ヌカと砂の比率を調整することで、ある程度コントロールできます。ヌカの比率が大きければゆっくり遅く沈むダンゴに、砂の比率が大きければ速く沈むダンゴになります。時季や活性に合った具体的なダンゴ材の配合例は、第4章の第2節で解説したのでご覧ください。

(話が脱線しますが、紀州釣りでは表層や中層でダンゴをバラけさせたくないのも同じ理由です。クロダイを中層に浮かせたくないからです。だから表層や中層でバラけない程度にダンゴを固く握る方がクロダイがよく釣れます。たとえば水分量が多すぎて、着水した途端にダンゴ材がバラけるようなダンゴではクロダイが中層に浮いてしまい、なかなかクロダイが釣れません。もちろん釣りに正解はないので、それでも釣れるときは釣れますが)



 話を戻します。

 市販のダンゴ材、紀州マッハで例えると、夏や秋の高活性ならば紀州マッハ攻め深場でダンゴを速く沈めます。冬や春の低活性ならばノーマルの紀州マッハでダンゴをゆっくり沈めます。
 中程度の活性ならば紀州マッハ攻め深場と紀州マッハのブレンドを使うと良いでしょう。それぞれ半分ずつバッカンに入れて混ぜ込むのです。



 また、ダンゴの握り加減によっても沈下スピードはだいぶ変わります。ぎゅっぎゅっと固く握れば、高密度な分だけダンゴは速く沈下します。反対にぺたぺたと軽く握れば(芯圧をかけずに握れば)ダンゴはゆっくり沈むので、低活性時にはこういった握り方を多用します。

 「芯圧をかけずに握る」とは?
 それはこちらをご覧ください →芯圧(しんあつ)をかけずに握るとは?




詳しい解説

 

・沈下速度に関する小技


 沈下スピードに関する小技を紹介します。

 ダンゴを早く沈めたいときは、ダンゴの投入後、竿先とウキの間の道糸を持ち上げておきましょう。そしてダンゴの沈むスピードに合わせて、少しずつ道糸を送りこむのです。こうするとダンゴは潮を切る道糸のブレーキが掛からずに沈んでいきます
 反対にダンゴをゆっくり沈めたいときば、ダンゴの着水直後に、竿先とウキの間の道糸を多く海に浮かべて、道糸の抵抗でダンゴにブレーキをかけます

 正直言ってこの小技を使っても、さほど沈下スピードは変わらないのですが、管理人は一応魚の活性によって使い分けています。







 ・中層のダンゴアタリを察知する方法


 そもそも普通に釣りをしていると、中層でダンゴアタリがある(ダンゴがつつかれている)のかどうか、知らないまま、気づかないまま釣りをしていることが多いです。

 なので、どうやってそれを調べるか紹介します。
 ダンゴ投入後、いっぺんに道糸を出してウキ止めや道糸の動きを観察してください。ダンゴの沈むスピードが不規則ならば、ダンゴが中層でつつかれています。


 また、もっとわかりやすい方法として、ダンゴ投入後、ダンゴの重さが多少釣り竿に掛かるようにして、適宜道糸を出しながらダンゴを沈めていきます。こうすると途中でダンゴアタリがあるならば、竿先にぐっぐっとアタリが出ます。


 中層でダンゴアタリがあると判明したら、もう中層でのアピールは考える必要ありません。むしろ、このままだと中層でダンゴ材が散らばってクロダイが浮いてしまうかもしれないので、ダンゴはぎゅっぎゅと固く握って、速いスピードで沈めましょう。

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