【第11章:上達の条件】

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»上手くなるには?上手な人と下手な人の違い
»積極的な釣り方がよい場合、消極的な釣り方がよい場合
   





質問

 どうしたら紀州釣りがもっと上手くなれますか?

回答

 釣果を最も左右するのはポイント選びです。ポイントをよく知る情報通になりましょう。技術面ではダンゴの握り具合をコントロールできるようになることが最重要です。精神面では決断を早く、柔軟な思考を持つことが最重要です。

やさしい解説

 

・紀州釣りが上手くなるには


 この章では、紀州釣りをする上での精神面について書こうと思います。
 精神面と書くと「そんなモンより技術に関する記事を書け」と言われそうですが、とても大事な要素なので、ぜひ読んでみてください。

 紀州釣りの上手な人と、下手な人の違いを述べます。


 上手な人ほど決断と切り替えが早い。
 下手な人ほど「もう一投粘りたい、もう一投粘りたい……が延々と続く」「以前成功した釣り方に執拗にこだわる」「以前釣れたポイントから1mも動こうとしない」

 上手な人ほど釣れた人の真似をする。
 下手な人ほど「プライドが邪魔して釣れた人に教えを乞わない」「未知の釣り方を怖がる」「このウキでしか釣れない……等の妙なジンクスが多い」

 上手な人ほど批判せず、柔軟である。
 下手な人ほど「そんな釣り方はあり得ないと批判したがる」「他人より上手いところを見せたがる」「挨拶もなしに、釣り場で過去の釣果を自慢してくる」

 上手な人ほど清潔で整理整頓を好み、わかりやすい設定を好む。
 下手な人ほど「道具が汚れていて、釣り座周辺の道具が散らかっている」「あれこれと多様な集魚剤を使いたがる」「最初から無理にハワセ釣りしたり、小さなアタリが出た瞬間に掛け合わせようとする」

 上手な人ほど情報通である。
 下手な人ほど「釣り情報のネットワークが狭い」「釣り場の特徴を知らない」「季節の移り変わりに疎い」

 上手な人ほど小さな変化を見逃さず、イメージが豊かである。
 下手な人ほど「惰性で同じことを繰り返す」「些細な潮の変化を見逃す」「なんだかよくわからないけど釣れた……ということが多い」

 上手な人ほど釣果は実力だと思う。
 下手な人ほど「釣果は運だと思う」「釣れない理由を場所や天候のせいにする」「釣り場選びも実力のうちだと知らない」

 上手な人ほどクロダイはたくさんいると思う。
 下手な人ほど「クロダイは全然いないと思う」「ただサシエサを食わせていないだけだと気づかない」「やはり釣果は運だと思う」

 上手な人ほど魚の視点からイメージを組み立てる。
 下手な人ほど「釣り人の視点からイメージを組み立てる」



 どうでしょう? ご自分の釣りに当てはまるキーワードはあったでしょうか。
 釣りが上手い人というと、たとえば糸の操作が上手い人とかを想像する人が多いでしょうが、知識も十分腕のうちだと管理人は思います。だからもしこのサイトで、なにか一つでも発見があれば、きっとあなたは以前より上手くなっているはずです。

 今回は非常に偉そうな記事になってしまいましたが、管理人も未熟者の一人なので、もっと上手くなれるように頑張ります。






詳しい解説

 

・積極的な釣り方と消極的な釣り方


 紀州釣りには、積極的な釣り方と消極的な釣り方があることをご存知でしょうか。

 積極的な釣り方とは、ウキ下やダンゴの握り具合を毎投毎投どんどん変化させて、積極的にクロダイにサシエサを食わせようとする釣り方のことです。別の言い方をすると「釣れるパターンを一投で判断していく釣り方」です。
 積極的な釣り方は、食い気のあるクロダイが常に目の前にいると考えられるときに発動します。具体的に言うと「釣り開始から二時間程度で5枚くらいクロダイが釣れて、最終的には10枚以上釣れるだろうと予想されるとき」であったり、「ダンゴアタリが頻発して明らかにクロダイがいると判断できるとき」などです。

 消極的な釣り方とは、積極的な釣り方の反対です。すなわち、ウキ下やダンゴの握り具合をあまり変化させず、消極的にクロダイの釣れるパターンを探る釣り方のことです。別の言い方をすると「何投もダンゴを投じて、正確に状況を判断することを優先し、釣れるパターンをゆっくり探る釣り方」です。
 消極的な釣り方は、いまクロダイがいるのかいないのか、よくわからないときに発動します。具体的に言うと「釣り開始から2、3時間経ってもクロダイが釣れないとき」であったり、「ダンゴアタリがない。もしくはダンゴアタリがあってもフグやボラがつついているだけで、クロダイが絶対にいると判断できないとき」などです。


 上記の説明だけでは、少しわかりづらいと思うので、また別の言い方をします。

 食い気のあるクロダイが常にいると考えられる釣り場では、決断を早くした方がよく釣れます。もしこの状況で釣れないのだとしたら「クロダイに合った釣り方をしていないから釣れていない」という事実が明確だからです。
 だからクロダイに合った釣り方(ダンゴの割れる時間やハワセる幅など)を積極的に探っていった方がよく釣れます。何投も何投も、同じ釣り方をして釣れなかったら「次の一投も同じ設定なら釣れない」のは当たり前で、それは単なる時間の無駄になってしまいます。

 クロダイがいるのかいないのかよくわからない釣り場では、決断の早さより、正確な状況判断を優先した方がよく釣れます。もし決断を早くしてどんどん釣り方を変化させた結果、釣れなかったとしたら、それは釣り方が間違っているせいなのか、単にクロダイがいなかったせいなのか、どちらなのか判断できません。
 だから何投も何投も……とまでいかなくても、2~5投は同じ設定で試さないと正確な状況判断ができません。何度か同じ設定を試しながら「さすがにこれだけ試したんだから単にクロダイがいないわけではなく、やっぱりこの設定では釣れないんだな」と判断した方が、正確に「クロダイに合った釣り方」を探ることができます。


 ……文章にするとちょっと難しい概念なのですが、ご理解いただけたでしょうか。

 要は何が言いたいかと言うと「決断の早さにもメリハリを付けた方がよく釣れる」ってことです。
 最初(クロダイがいるのかいないのか、よくわからないとき)から一投ごとにあれこれ探って、ようやくクロダイが釣れ出した頃には疲れ果て、同じ設定ばかり試すよりも――最初はゆっくりと何投もかけて状況を正確に判断し、クロダイが釣れ出してからやる気を出して、一投ごとにあれこれ探った方がよく釣れるということです。

 何度見直しても読者様に理解していただけるか不安な文章なのですが、とても大切な考え方なので、初心者にはぜひ理解してもらいたいです。


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