詳しい解説
・釣り開始時、ダンゴ材の上部約12センチだけにアミエビ200cc混ぜる
最初に警告しますが、このテクニックは上級者向けで、今年紀州釣りを始めた……なんて初心者は実践を控えた方が良いです。
このテクニックの手順を説明します。下図をご覧ください。
これをすると何が良いのか解説します。
メリット1:釣り始めは高い集魚力で素早くクロダイを寄せる。
釣り始めは自然とダンゴ材の上層、アミエビが多く混ざっている部位を使用することになります。やはり低集魚と高集魚では、高集魚の方がクロダイが寄ってくるのが早いです。
メリット2:高集魚から低集魚、多い水分量から少ない水分量まで、素早く試すことができる。
乾いたダンゴと湿ったダンゴ。どちらも同じ大きさで、同じタイミングで海底で割れるとしても、一方はクロダイが釣れて、一方はクロダイが釣れないという結果が現実に起こります。ダンゴの水分量と粘り気による崩壊のタイミング、早さ、ダンゴ材の飛散の範囲が、クロダイに影響するのは間違いありません。
詳細はこちらの記事をどうぞ。→
基礎編【第9章:水分量と集魚力】
いろんなパターンのダンゴを効率的に試すことができるのが、このテクニックの最大の長所です。
一方で、このやり方には一つ大きな短所があります。
それは
「クロダイが寄ってきたとしても、初心者には判断しづらい」という点です。
クロダイはアゴの力が強いので、クロダイがダンゴをつつきだすと、ダンゴの割れる時間が早くなります。「ダンゴの割れる時間が早くなる」というのは初心者にも分かりやすいサインです。
なぜ割れるのが早くなるか?
→割れる時間の変化、クロダイが釣れそうな気配を察知できる
しかしこのテクニックは高集魚や低集魚、多い水分量から少ない水分量まで、ありとあらゆるパターンのダンゴを試す釣り方です。ダンゴの割れる時間が早くなったとしても、それが「乾いたダンゴ材の層を使うようになったから」なのか「エサ取りやクロダイが寄ってきたから」なのか、おそらく初心者には判断できません。
なので冒頭で述べた通り、これは初心者にはオススメできない上級テクニック、ということになります。
状況を正確に判断するには、常にダンゴがどのくらいの時間で割れているか把握しておく必要があります。ぼーっとして、惰性でダンゴを投じてはいけません。
最低でも「握り加減を一定にする」「海底で1分程度ダンゴを割れないダンゴを握ることができる」この2つのテクニックを身につけるまでは、このアミエビをダンゴ材の上部にだけ混ぜるテクニックは控えた方がよいでしょう。
参考
→ダンゴの握り加減を毎回同じにするには
・海水の足し方
夏や秋の高活性の時期は、釣り始めから海水をダンゴ材に追加します。
また、釣りを続けていくと、ダンゴ材の表面がだんだんと乾いてきます。特に気温の高い夏はダンゴ材がすぐに乾いてしまいます。
乾いたダンゴ材は握りづらく、さらに乾くとパサパサで握ることができません。そんなときも海水を足しましょう。
ここで注意点が2つあります。
注意1・海水を足すときは手や小さなカップで水を20ccとか少しずつ足しましょう。
バケツの水を直接ダンゴ材に入れるのはやめた方がいいです。誤って水が入りすぎてしまったらもう釣りができなくなってしまいます。また、ダンゴ材に入れる水量の微調整ができないです。
注意2・海水はダンゴ材の上部だけに混ぜて、水分量が多すぎたら調整できる余地を残しましょう。
これは読んで字のごとくです。下図を見てください。
「うっかり水を多く入れすぎて、もう調整もできない!」そんな事態にならないようにしましょう。
微妙な水分量の多さ少なさで、釣果は変化します。「ちょっとくらい海水が多くてもいいだろ」と甘く考えてはいけません。1匹や2匹のクロダイを釣って満足するならいいですが、10匹20匹のクロダイを釣りたいのならば、些細なことにも注意を払いましょう。
・バッカンの隅に水やアミエビを足す
(これからする説明は【
ダンゴ材の水分量と握り加減の調節範囲】を先に読んでいないと理解できません。未読の方は先にこちらをどうぞ)
たとえばパサパサに乾いたダンゴを海に投げ、1分経過した頃にあやしいダンゴアタリが出て、2分経過した頃にダンゴが割れたとします。
この場合、すでに何匹もボラを釣っているのなら、あやしいダンゴアタリの正体はボラだと予想できるのですが、そんなにボラがいないと判断できるときは、ダンゴアタリの正体がクロダイである可能性も十分あります。
あやしいダンゴアタリが出たタイミング(この例では1分)で、ダンゴを割ればクロダイがエサに食いつくかもしれません。
じゃあ1分で割れるダンゴを握ろう……としても、もしダンゴ材がパサパサで、100%の力でないと握れなかったら、また2分で割れるダンゴになってしまいます。
1分で割れるダンゴにするためには、ダンゴ材に海水を足して、さっきまでより弱い力(たとえば50%の力)でダンゴを握らなければなりません。ダンゴ材に海水を足して、握り加減の調節範囲を広げる必要があるわけです。
しかし、もしダンゴ材にまんべんなく海水を足した結果、クロダイが釣れなかったら最悪です。水分量の多いダンゴ材ではクロダイが釣れないとわかっているのに、ダンゴ材にまんべんなく海水を足してしまったのですから。
これを避けるために「バッカンの隅だけに水やアミエビを足す」というテクニックがあります。
考え方は、海水を足し方のときと同じです。
ダメだったとき、再び調節できる余地を残しておくことが重要です。
ダンゴ材の一部を湿らせて、一分で割れるダンゴを何回か試します。そして試した結果、クロダイが釣れたら、そのときはじめて全体に水分を足せばよいのです。
もしクロダイが釣れなくても、加えた水分量は全体としては少量ですから、乾いたダンゴ材を掘り起こして全体を混ぜ込めば、またほぼ元通りになります。
アミエビを加えるときも同じ話です。なかなか釣れなくて「ちょっとだけアミエビの多いダンゴを試してみたい」というとき、バッカンの隅にだけアミエビを追加します。
ちょっと話が逸れますが、
釣れないときはとにかくいろんなことを試すというのが大事です。ダンゴの水分量だったり、アミエビの量だったり、いろんなことを試してみましょう。
この辺の決断の早さについては、こちらの記事でも解説しています。
→積極的な釣り方がよい場合、消極的な釣り方がよい場合