【第1章:紀州釣りって?】

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»マンガでわかる紀州釣り《注目》
»紀州釣りは楽しいか?良いところ悪いところ
»紀州釣りとフカセ釣りの違い《人気記事》
»フカセ釣りよりも釣れるか?
»ウキダンゴ釣り?紀州釣りの名称について
»紀州釣りのルーツ、紀州藩が奨励した?
   





質問

紀州釣りってどんな釣り?

回答

以下に掲載するマンガをご参照ください。

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質問

 正直、紀州釣りって楽しいですか?

回答

 紀州釣りはクロダイに限らず、身近な堤防でデカい魚が簡単に釣れる釣り方です! 手軽に強烈な引きを味わって、海釣り初心者も楽しめること間違いなし!

やさしい解説

 紀州釣りのメリットを解説します。

メリット1
【クロダイに限らず、デカい魚が簡単に釣れる】


 紀州釣りは本来クロダイを本命魚として狙って釣るものですが、その他にボラ、アイゴ、メジナ、マダイ、ヘダイ……等、力の強い魚がよく釣れます。
 特にボラは狙って釣ろうと思えば簡単に釣れ、まるで青物のような強烈な引きを味わうことできます。あまりに強烈な引きなので、周囲の釣り人から注目を浴びることもしばしば。
 そんな強烈な引きが、本当に海釣り初心者でも簡単に体験できます!
 単純に大きな魚(ボラ等)を釣るだけなら、絶対にフカセ釣りやルアー釣りより簡単です!(本命のクロダイを釣るのは少し根気が要ります。本来はボラを釣らないように工夫する釣りなので、ボラを釣ってしまうのは本当に簡単です)

bora



詳しい解説

 その他にも以下のようなメリットがあります。(初心者には理解しづらいかもしれませんが、それはもっと後の章で解説します)

2【工夫すれば、たった300円程度のダンゴ材(マキエ)で1日楽しめる】
3【海中に漂う仕掛けの姿勢がイメージしやすい】
4【一投一投展開するので、釣りのリズムが作りやすい】
5【アタリが表れるタイミングがわかりやすい】
6【ダンゴにサシエサを包むので、マキエとの同調を考えなくてよい】
7【上手になると、海中のクロダイの雰囲気を感じ取ることができる】
8【初心者でも最初の1匹のクロダイを釣りやすい】

 フカセ釣りで1年間頑張っても釣れなかったクロダイが、紀州釣りでは1回目の釣行で釣れた……なんて人も実際いるくらいです。
 紀州釣りならば、適当にやっていても気が付いたらクロダイが1匹や2匹釣れていた、なんてことが起こり得ます。


 しかし以下のようなデメリットもあることを、包み隠さずお伝えします。
A【ダンゴを握るので、ダンゴ材で手や道具が汚れてしまう】
B【ダンゴを固く握ると死んでしまうので、生きエサが使いにくい】
C【中層に遊泳する魚を狙いにくい】
D【海底が岩場だと根がかりしやすい】
E【フカセ釣りよりマイナーで、情報が得づらい】

 当サイトは紀州釣り人口を増やし、その奥深い情報を未来に残すことを目的に制作されています。   


区切り


 

・紀州釣りとフカセ釣りの違い


 細かく見れば山ほど違いがあるので、クロダイを釣る上で特に重要な3つの違いについて述べます。
 
 ・重大な違い1
 紀州釣りはエサ取りからダンゴでサシエサを守る釣り、フカセ釣りはサシエサをそのまま魚に届ける釣り


 この違いは、えてすると「当たり前だ」と言われるかもしれませんが、とても重要な秘密が隠されています。
 紀州釣りはエサ取りからダンゴでサシエサを守る釣りである、と同時に、エサ取りがダンゴをつつくのを利用する釣りなのです。

 フカセ釣りでは、海にまいたマキエは煙幕を出しながら海底へと沈んでいきます。魚たちはこの煙幕(飛散したマキエ)に引き寄せられて集まってくるわけです。
 しかし紀州釣りはマキエにサシエサを包んでダンゴにして、海に沈めます。マキエをダンゴ状に丸く固めている分、フカセ釣りよりも海中で煙幕(飛散したマキエ)が発生しません。だから煙幕に引き寄せられる魚も、煙幕を吸って活性を上げる魚も少ないのです。

 紀州釣りはダンゴをエサ取りにつついてもらって、はじめて広範囲に煙幕(飛散したマキエ)を発生させることができるのです。これがフカセ釣りとの重要な違いです。

 紀州釣りでもエサ取りがたくさんいれば、ダンゴ状に固めたマキエから十分に煙幕を発生させることができます。そしてサシエサはエサ取りに盗られずに残っていますから、クロダイが釣れる可能性はグッと高まるわけです。
 フカセ釣りではたった10秒でフグにサナギやコーンが盗られてしまう……そんな釣り場でも、紀州釣りならオキアミでも、しっかりサシエサを海底に届けてクロダイを釣ることが可能です。

 つまり「紀州釣りではエサ取りは味方、フカセ釣りではエサ取りは敵」という違いがあるのです。(もちろん度の超えたエサ取りの群れは、紀州釣りでも厄介者となるのですが)
 フカセ釣りではエサ取りの群れを分離させる(減らす)ために、マキエを足元と沖の2か所に撒いたりしますが、紀州釣りではそんな必要ない、というのも違いの1つです。

説明





 ・重大な違い2
 紀州釣りはサシエサを留める釣り、フカセ釣りはサシエサを流す釣り


 フカセ釣りをする人ならば「クロダイを釣る上で、マキエとサシエサの同調(位置を合わせること)はとても重要だ」と知っているはずです。
 だからフカセ釣りではマキエをたくさん撒いて、マキエの煙幕が発生したところやマキエが海底で溜まっているところへ、サシエサを流し込むわけです。そうすればクロダイがよく釣れます。

説明



 紀州釣りでも、マキエとサシエサの同調の重要さは同じです。マキエとサシエサを同調した方がずっとクロダイがよく釣れます。
 しかし紀州釣りでは、マキエの煙幕は海底でダンゴがつつかれている箇所しかありません。マキエとサシエサを確実に同調できる、というメリットの反面、マキエの煙幕の範囲がフカセ釣りより狭いので、マキエが潮によって流されたら、すぐに同調されなくなってしまう、というデメリットがあるのです。

説明



 つまり紀州釣りはサシエサを留めてクロダイが寄るのを待つ釣り、フカセ釣りはサシエサを流してクロダイに送り込む釣り、という重大な違いがあるのです。
 紀州釣りではサシエサを留めるために、ウキ下を長く取ったり、ダンゴを早く割ったり、いろいろな工夫をするわけです。

 フカセ釣りと違って、紀州釣りでは潮受けゴムを付けない理由もここにあります。これについてはこちらの記事でも解説しているので、ぜひ参照してください。
 →ウキストッパーや潮受けゴムも付けない方が良い、その理由




 ・重大な違い3
 ウキが別物。紀州釣りでは紀州釣り専用のウキを使う


 表題の通り、紀州釣りとフカセ釣りではウキが別物です。たとえば一言で「自立棒ウキ」と言っても、それが紀州釣り用かフカセ釣り用かで、性能がまったく異なります。

 これについてはこちらの記事を参照してください。→ウキだけは紀州釣り専用の物を買わなければならない


区切り


 

・フカセ釣りよりも釣れるか?


 紀州釣りとフカセ釣り、どっちの方がクロダイをたくさん釣れるでしょうか?
 もちろん釣り人自身の腕の差であったり、時季であったりポイントであったり、様々な環境に釣果は左右されるので、一概にどっちの方が優れているとハッキリ言えません。

 しかし「こういう状況のときはだいたい紀州釣りの方が釣れる」「この状況ではフカセ釣りの方が釣れる」という、おおまかな基準はあります。ただしどちらの種類の釣り人も「腕の差はない」と仮定したときの話です。

 ・フカセ釣りの方が(たぶん)釣れる場合
 紀州釣りではオキアミすら盗られず、ダンゴアタリも全く出ず、アミエビを多量に含ませたダンゴ材でもエサ取りの存在を感じることができない。こんなときでも紀州釣りでクロダイを釣ることはできます。
 ただしこんなときは多くの場合、フカセ釣りの方がもっと釣ることができます。
 紀州釣りはエサ取りからサシエサを守るためにダンゴを握るので、エサ取りがいなかったら、わざわざエサをダンゴに包む意味がないのです。
(こんな記事を書いたら紀州釣り人口が減ってしまいそうですが、デメリットの真実もハッキリ言います)

 ・紀州釣りの方が(たぶん)釣れる場合
 フカセ釣りではコーン、サナギ、ネリエ……その釣り人が持っているどんなエサを付けても、大きなオモリで一気にサシエサを沈めても、マキエワークを工夫しても、毎回20秒もせぬうちにエサが盗られてしまう。
 こんなときでもフカセ釣りでクロダイを釣ることはできます。
 ただしこんなときは多くの場合、紀州釣りの方がよく釣れます。紀州釣りの方がエサ取りに強い釣り方だからです。

説明

 この他の条件では、一概にどっちの方が有利と言えません。たとえ海底が岩礁帯でもエサ取りが多ければ紀州釣りの方が釣れるかもしれません。たとえ海底が砂地で多少エサ取りがいてもフカセ釣りの方が釣れるかもしれません。
 
 どっちの方が釣れるのか、その答えはハッキリしませんが、どちらの釣りもたくさん釣るための方法はハッキリしています。
 釣り人の腕を磨くこと。そして釣り場の選択が最も釣果を左右します。



区切り


・ウキダンゴ釣り?紀州釣りの名称について


 紀州釣りには様々な呼び名があります。ウキダンゴ釣り、ウキダゴ釣り、ダンゴ釣り……。呼び名は違えど、すべて同じ釣り方です。
 これらの呼び名は地域によって差があるようです。
 
 関東地方では「ダンゴ釣り」と呼ぶのがメジャーです。ただし「ダンゴ釣り」と呼ぶと、同じダンゴを使う「かかり釣り」と紛らわしくなるので、それと区別する意味で「ウキダンゴ釣り」と呼ぶこともあるみたいです。

 大阪など関西方面では「紀州釣り」と呼ぶ人が圧倒的に多いです。
 管理人が一度、大阪の渡船店の店員に向かって「今日はダンゴ釣りをしました」と言ったところ、キョトンと不思議な顔をされたことがあります。なので慌てて「紀州釣りをしました」と言い直しました。関西ではやはり「紀州釣り」と呼ぶのが通例のようです。

 また、紀州釣りと似た釣り方として、「大分バクダン釣り」というものがあります。
 これは粘度の高いダンゴの中に釣り鈎を何本も仕込み、クロダイにダンゴごと鈎を食わせる釣法で、紀州釣りとは似て非なるものです。

説明



区切り


 

・紀州釣りのルーツ


 時は江戸時代に遡ります。
 この当時は透明なハリスがなく、有色の道糸に釣り鈎を結んでいたので、日中に警戒心の強いクロダイを釣るのは困難でした。だからクロダイと言えば「夜に釣れる魚」というのが常識だったのです。
 しかしあるとき、有色の道糸ごとヌカダンゴで包み隠すことによって、日中のクロダイを釣ることに成功しました。そして和歌山県の紀州藩がこの釣りを奨励しました。そのときの名残で「紀州」釣りという名になったそうです。
 彼らは武士道の精神鍛錬として紀州釣りを嗜んだそうです……。

 ……本当でしょうか?
 武士道の精神鍛錬という名目で、釣りを楽しんでいただけではないかと、管理人は思ってしまいます。
 それほどまでに、紀州釣りは奥深く、また楽しいです。

           
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