【第5章:サシエサ】

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»サシエサ選択:残るエサか盗られるエサか
»サシエサ選択:具体例
»サシエサ選択:アタリの出方も重要
»オキアミ:基本エサ、芯残りに注意
»コーン:オススメの銘柄
»サナギ:謎の液体に浸す、浮かないか確認
»ボケ:最高の高級なエサ
»ネリエ:魚玉と高集魚レッドの違い、ダンゴの握り方に注意
   





質問

 紀州釣りではどんなエサを付けるのが良いですか?

回答

 季節によって2~4種類持っていくと良いでしょう。実釣時のエサ選択はどのエサが盗られて、どのエサが盗られないか、しっかり把握してから、いろんなエサを試しましょう。

やさしくない解説

 

・サシエサの選択


説明

 サシエサの選択は非常に難しい問題で、いろんな考え方、意見があります。

 主な意見は次の3つです。

 意見1・残るエサを中心に付ける
(たまに盗られることがあっても、基本的にはエサ取りに盗られないエサを中心に選択)

 これの理屈は簡単です。「エサ取りにサシエサを盗られたらムダになる」という考え方です。硬いエサは多少クロダイの食いが悪くても、エサ取りに盗られずに残っているエサの方がクロダイが食うチャンスがある……という理屈です。(なんとなくフカセ釣りっぽい考え方です)

説明


 意見2・残らないエサを中心に付ける
(たまに盗られないことがあっても、基本的にはエサ取りに盗られるエサを中心に選択)

 紀州釣りはダンゴでサシエサを守ることができるから、わざわざエサ取りが盗らない硬いエサを付ける必要がありません。ダンゴの固さ(握り加減)を調節して、クロダイが到来した瞬間にダンゴを割ればエサ取りをかわせるのだから、そのときクロダイが確実に食う柔らかいエサの方が釣れるであろう……という理屈です。

説明


 意見3・ダンゴが割れた直後は盗られないが、しばらくするとエサ取りに盗られるエサを中心に付ける。
 残る残らないの極端な二択ではなく、ダンゴからサシエサが出た後の時間によって残ったり残らなかったりするサシエサを選択します。そうすれば、そのときの海底の様子を知る手がかりの一つになります。たとえばこの後に、ダンゴが割れた直後にエサを盗られるようになったらエサ取りの活性が上がったと判断できるし、しばらくしてもエサ取りにエサが盗られなくなったら、クロダイがエサ取りを威嚇しているのかもしれないと判断できます。

説明
説明


 どの考え方が正しいのか、どのサシエサを選択すれば最もクロダイを多く釣れるのか……管理人もわかりません。
 実はこの章の記事の内容は、全面的に3度も修正しています。最初、管理人は2の意見だったのですが、その後「2→1→2→3→1」という風に考えが何度も変わってしまいました。その度にこのページの記事の内容を変更したのです。以前までの記事を参考にした方は、大変申し訳ございませんでした。もう二度とこのページの記事は全面的に変更しません。(2020/11/29)

 さて。
 悩みぬいた末に、管理人がたどり着いたのは「とにかくいろんなエサを試すことが重要」という、つまらないものでした。
 しかし読者のあなたが1,2,3、どの意見を採用するか、それは自由ですが、「とにかくいろんなエサを試すことが重要」というのも真実なのです。

 意見1を採用して、残るエサを中心に付けたとしても、ときどきは残らないエサも試してください。
 意見2を採用して、残らないエサを中心に付けたしても、ときどきは残るエサも試してください。
 意見3を採用して、時間によって残ったり残らなかったりするエサを中心に付けたとしても、ときどきは短時間で確実に盗られるエサ、長時間でも残るエサを試してください。

 その方がきっと早くクロダイを釣ることができます。
 なぜなら、たとえエサを変えた結果、失敗した(釣れなかった)としても、その失敗したという情報も貴重だからです。いざクロダイがたくさん釣れるチャンスが来たとき、その失敗の情報がサシエサ選択の手がかりになります。

 釣りというスポーツは早い段階でいろんな失敗をした方が、後々たくさん釣るためのヒントになるものです。

 そして読者のあなたが1,2,3、どの意見を採用するか、それは自由ですが、とにかく1匹でもクロダイが釣れたらそのエサをしばらく中心に使うようにしましょう。たまたま、偶然、そのエサで釣れた……とは、あまり考えられないからです。
 そもそもクロダイはアジやサバなんかと比べて、かなり釣れにくい種類の魚です。「偶然」釣れた、ということは少ないのです。そのサシエサを選択したのは偶然でも、クロダイが釣れたのはそのサシエサが正解だったから、と考えた方がよいです。
(あくまでも「そのエサをしばらく中心に使う」です。何度か同じアタリエサを試して釣れなかったら、また色んなエサを試しましょう)

説明



区切り


 

・残る残らないを把握する


 そもそもの話として、自分が持っているエサの中で、どれが盗られてどれが残るのか、ハッキリ知らないと、1,2,3、どの意見も実践することができません。
 釣り始めでは、ひとまず最も柔らかいエサから試すのが良いです。なぜなら、もしそのエサが盗られなかったら、他のさらに硬いエサは試さずとも盗られないと予想できるからです。
 
 たとえば、コーンとオキアミの2種類のエサを持っているとします。
 もし最初にコーンを付けて盗られなかったとしましょう。そして次に試したオキアミも盗られなかったら、この日はオキアミを中心に付けることになります。
 
 盗られるエサがない場合、持っている中で最も柔らかいエサを頻繁に付けます。柔らかいエサですら残るのに、わざわざ硬いエサも試す必要はあまりありません。
 これは紀州釣りの原則です。
 
 つまり最初にコーンを付けると、コーンの缶詰をせっかく開けたのに、使ったのは最初の一回限り(2~3粒だけ)で、それきり二度と使うことがなかった……という、もったいない事態が起きるかもしれないのです。
 
 オキアミが盗られるのであれば、コーンが盗られる盗られないに関わらず、コーンは活躍します。意見1,2,3のどれを採用したとしても、最低でもコーンはときどき試した方がよいからです。
 
 オキアミが盗られるという事実を確認してからコーンを使い始めた方が、コーンがムダになる事態は確実に起きません。
 これが、最も柔らかいエサから試した方が良い理由です。
 


区切り


 

・具体的なサシエサの選択例


 この回答を具体的に解説します。

 ・オキアミとコーンとサナギを持ってる場合
 最も柔らかいオキアミから試します。そしてもしオキアミがエサ取りに盗られるようならば、次に固いエサであるコーンを付けます。コーンも盗られるならば、次は一番固いエサであるサナギを付けます。

 どれが残ってどれが盗られるのか把握してから、それぞれの考えに沿ってサシエサを選択し、いろいろと試していきます。
 そして1匹でもクロダイが釣れたら、しばらくはそのエサを頻繁につけます。例として、もしオキアミで釣れたらオキアミを頻繁に付けて、3回に1回くらいの頻度でコーンやサナギを試します。もしサナギで釣れたならば、サナギを頻繁に付けて、3回に1回くらいの頻度でオキアミやコーンを試します。

 そして、もしオキアミだけで5匹くらいクロダイが釣れたら、その日はオキアミを中心に付けましょう。もちろん他のエサもときどき試しながらも、オキアミが中心です。

 ただ注意しなければならないのが、盗られるエサや残るエサは、釣りの最中に変化するということです。

 たとえばさっきまでコーンが盗られていたのに、コーンどころか、オキアミすら盗られなくなって残ることがあります。こういうときはクロダイがエサ取りを威嚇して蹴散らしている可能性が高く、チャンスです。オキアミすら残るのならば、オキアミ(最も柔らかいエサ)を積極的に付けると良いでしょう。

 また、逆に、さっきまでオキアミすら残っていたのに、いまはコーンさえ盗られてしまう、ということがあります。こういうときもチャンスです。エサ取りが集まってきて、ダンゴの煙幕をまき散らし、クロダイの活性も上がっている可能性があります。こういうときはコーンやサナギを頻繁に付けると良いでしょう。


 ・オキアミとネリエを待っている場合
 最初に一番柔らかいエサであるオキアミを付けます。オキアミが盗られるなら、次に固いエサであるネリエを付けます。もしこのネリエも盗られるのであれば、ネリエを頻繁に付けて、ときどきオキアミを試します。
 紀州釣りでは、持っている全てのエサが盗られるとき、最も硬いエサを中心に付けましょう。


 これが紀州釣りにおけるエサの選び方の例なのですが、ボケというエサだけはこのパターンの例外に属します。

 ボケはクロダイがいる確率が濃厚なときだけ使うエサで、ボケを頻繁に付けて釣りすることはありません。
 というか頻繁に付けていたらもったいない高級なエサなので、ときどき試すことしかできないのです。もしあなたがお金持ちなら、頻繁に付けても構いませんが……。


区切り


 

・サシエサの種類によるアタリの出方


 ここまで残るか残らないかだけでサシエサの選択を語ってきましたが、サシエサの種類によるアタリの出方も重要です。
 どのエサが大きなアタリが出るか、どのエサが大きな反応が出るか、しっかり把握しましょう。

 絶対ではありませんが、紀州釣りではエサ取りが大きなアタリを出るエサは、クロダイも大きなアタリを出すことが多いです。
 ウキのアタリの出方というのも、アタリエサを素早く発見するための重要な手がかりになります。

説明

 しかし、上記の意見とは逆に、エサ取りの反応が薄いエサの方がクロダイがよく釣れる場合もあります。上記の意見を全否定するような状況です。

 反応が大きいエサを使うべきか、反応が小さいエサを使うべきか……。それは状況によって変化するのでハッキリとは言えません。

 しかしこういう判断基準があると、釣りが上手になります。
「昨日行った釣り場ではアタリの出方が大きい方が釣れた。今日の釣り場も似た雰囲気だから、アタリの出方が大きい方が釣れるだろう」という風に、パターンを探るのが早くなります。

 「なんだかよくわからないけど釣れた……」という釣り人よりも、「たぶんこうなってこうだから釣れた」という想像力の豊かな釣り人の方が上手くなります。




詳しい解説

 各エサについて、個別に解説します。

 

【オキアミ】

オキアミ

 毎回常備しておくべきエサです。エサ取りが激しいときも、ときどき試しに使ってみるとクロダイが釣れることがあります。紀州釣りではオキアミしか使わない人もいるくらい万能なエサです。

 1つ注意するならば、オキアミは水分を多く含んだエサなので、水分にダンゴ材が付着して芯残りしやすいです。
 なのでボラがよく釣れるときは芯残りしにくいコーンに変更すると良いかもしれません。




区切り


 

【コーン】

コーン
 コーンは釣具店だけでなく、スーパーなんかでも安い缶詰を買うことができます。そしてスーパーで買ったコーンでも、釣具店で買った物とまったく遜色なく、クロダイが釣れます。

 オススメは画像で示した通り、デルモンテ製の紙パックに入ったホールコーンです。このコーンはシャキっとしていて、とても付けやすいです。また、缶詰ではなく紙パックなので、捨てやすいというメリットもあります。オススメです。

 コーンで釣れたクロダイの平均サイズは、オキアミで釣れたクロダイの平均サイズより大きいです。おおまかですが、平均40センチくらいでしょうか。コーンだと20センチくらいの小さなクロダイはあまり釣れません。(釣れることも当然あります)

 たまに「サシエサにコーンを使うのであれば、ダンゴ材(マキエ)にもコーンを入れた方が良いですか?」と質問を受けることがあります。回答すると、ダンゴ材にコーンを入れなくても十分釣れるので必要ないと私は思う、となります。


区切り


 

【サナギ】

サナギ
 サナギでクロダイを釣ったことない。世の中にはそんな釣り人も多いようです。かくいう管理人も昔そうでした。そのときの経験を活かして、読者のあなたがサナギでクロダイを釣ったことないと仮定して教えます。

 それは大抵の場合、乾燥してカッチカチに固いサナギを使っているから釣れないのです。
 メーカーが販売するサナギのエサの商品は、大抵サナギが謎の液体に浸けられています。この液体の正体は管理人も知りません。しかしこの謎の液体が重要なのです。あなたは袋を開封した途端、この謎の液体を捨てていませんか?

 サナギは乾燥して固くなると、一気に魚の食いが悪くなります。だから必ずサナギをこの謎の液体に浸して柔らかく保たなければならないのです。

 さらに言うと、常温で販売しているサナギより、冷凍のサナギ(上画像の活丸サナギなど)の方がさらに食いが良いです。ともすれば、コーンよりエサ持ちが悪いくらいなので、このサナギを謎の液体に浸しながら使えば絶対にクロダイが釣れます。(管理人はサナギを使うときは必ず食いの良い冷凍物を買います)

 ついでに言うと、指でつまんだとき、ぺらっぺらに薄くてすぐ折れ曲がるサナギも食いが悪いです。身がしっかりパンパンに詰まったサナギを選んで使いましょう。

 サナギについてもう1つ注意するならば、サナギはたまに海中で浮いてしまうことです。サナギはダンゴに包む前にバケツの海水に浮かべてみて、ちゃんと沈むか毎回確認しましょう。




区切り


 

【ボケ】

ボケ
 生きたボケは関東で紀州釣りする人にとって憧れのエサです。(むかし管理人がそうでした)
 関東の釣り人でも、通販で冷凍のボケなら(楽天とかで送料払えば)手に入りますが、やはり冷凍物は生きたボケより食いが悪いみたいです。

 紀州釣りでは小ボケをよく使います。人間の手の小指の長さくらいの大きなボケより、2、3センチくらいの小さいボケの方がさらに食いが良いです。
 ボケはクロダイがいる確率が濃厚なときに使うエサです。高級で、そう頻繁に付けられないのが弱点ですが、クロダイの食いは一番良いと言っていいくらい優秀なエサです。


区切り


 

【ネリエ】

ネリエ
 魚玉などの柔らかいネリエの方が食いが良いです。高集魚レッドや食い渋りイエローは、フカセ釣りのとき、竿を振り込んで仕掛けを飛ばしてもネリエが落ちないように少し固めに設計されています。
 なので、柔らかい魚玉に比べると、紀州釣りではあまり食いが良くないです。魚玉でエサ取りが避けられないとき、固い高集魚レッドを使う、というイメージでしょうか。

ネリエ

 ネリエは重いサシエサなので、底を切る釣りよりも、ハワセる釣りのときに威力を発揮します。重量があるので、ダンゴが割れた地点からすぐには流されません。流して釣るのではなく、ダンゴの近くに呼び込んで釣るイメージのエサです。

 ネリエを使うときは、ダンゴの握り方に注意しましょう。最初から力を込めて握るのではなく、ある程度ダンゴが丸く成形されるまでは軽く握って、それから強く握りましょう。そうすればネリエが針に丸く付いた状態を維持できます。
説明


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