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»竿選び:インナーガイドロッドのメリット
»リール:水洗い可能な物を選ぼう
»リール:レバーブレーキとは何か、必要か?
»道糸:フロート、サスペンド、シンキングタイプ
»道糸:種類による捌きやすさ、風の影響
»道糸:種類によるアタリの伝達感度
»道糸:視認性
»ウキ:初心者はまず1つの種類のウキを使い続けよう
   






【第3章:仕掛け②】

詳しい解説

 この項では釣り竿・リール・道糸・ウキについて解説します。

 

・釣り竿




 チヌ竿か、磯竿の1号が標準です。
 そして海釣り初心者には、インナーガイドロッドもオススメです。

 インナーガイドロッドのメリットは以下の通りです。
 1・糸絡みがほぼない。
 2・穂先が折れにくく丈夫。
 3・雨や風に道糸が煽られにくい

 デメリットは以下の通りです。
 A・内部に水が浸入するので、穂先を水に浸けてはいけない。
 B・道糸の出し入れに抵抗がある。スルスルとは出し入れできない。

 実際に1度使ってみれば、その便利さに虜になるかもしれません。特に「糸絡みがない」というのは非常に素晴らしいです。
 紀州釣りの基本動作を覚えて、それからアウトガイドの紀州釣り専用竿へとステップアップしていくと良いでしょう。
 ただし基本動作をマスターしているのなら、最終的にはアウトガイドの竿の方が絶対に使いやすい、と管理人は思います。海釣りに自信があるのなら、紀州釣り初心者でも最初からアウトガイドでよいでしょう。無理にインナーガイドを買う必要はありません。

 ・商品紹介
 インナーガイド例 → シマノ(SHIMANO) 鱗海 SI 0.6号 520(Amazonリンク)
 紀州釣り専用竿例 → 釣り武者(TsuriMusha) DUMPLING OGRE(ダンプリングオウガ)






 

・リール



 リールの種類はスピニングリールが標準です。
 選ぶ際には、大切なポイントがあります。それは水洗い可能なリールを選ぶことです。
 紀州釣りでは手でダンゴを握るため、どうしても竿やリールが汚れます。日々の道具の清掃は欠かせません。しかし値段の安いリールは水洗い禁止の物もあって、そのタイプだと清掃が非常に面倒です。

 なので、紀州釣りを続けるのであれば、最低でも水洗い可能なリールを購入しましょう。(最低でも1万円以上すると思います)

(水でジャバジャバ洗うと、細かいダンゴ材が機構の中に入ってしまってリールの寿命を縮めるという意見もあるのでご注意ください。手間を惜しまない人はブラシで洗いましょう)

 次にレバーブレーキについてですが、あってもなくても、これは自由です。
 あると便利ですが、50グラム程度、どうしてもリールが重くなるデメリットもあります。「レバーブレーキって何?」という質問が浮かぶような初心者の人ならば、ない方をオススメします。紀州釣りの基本動作を覚えてから、段階を踏んでレバーブレーキの操作を覚えましょう。



 ・商品紹介
 リール例 → シマノ(SHIMANO) BB-X ラリッサ[BB-X Larissa]






 

・道糸



 さて、この道糸については説明が少し長くなりそうです。

 結論を先に言うと……
 底を切るなら → フロートタイプが良い。
 ハワセるなら → サスペンドタイプが良い。
 遠投するなら → シンキングタイプが良い。

 道糸の太さは2号が標準で、必ず視認性の良い色を選びましょう。



 ……では、そもそもフロートタイプやサスペンドタイプとは何か。そこから解説しましょう。
 これらは道糸の漂い方を表しています。(図面参照)



 さて、これらの違いは糸の捌きやすさやアタリの伝達感度に影響を及ぼします。

 では、まず糸の捌きやすさについて考えてみましょう。これはラインメンディングのしやすさと訳しても構いません。竿をしゃくって道糸を一度空中に持ち上げて、道糸の漂い方を修正することをラインメンディングと言います。
 これは海面に漂っているフロートタイプが最も道糸を空中に持ち上げやすく簡単です。次に簡単なのがサスペンドタイプ、最後に最も難しいのがシンキングタイプでしょう。

 では次に、風や潮流の受け方について考えてみましょう。
 下図は糸の漂い方を俯瞰的に表しています。



 右から左方向へ、風と上潮だけが流れている場合、海面に漂っているフロートタイプが最も影響を受けて湾曲します。次に影響を受けるのがサスペンドタイプ。最も影響を受けにくいのが、海中の下層へと潜っているシンキングタイプとなります。
 (たぶんここまでは多くの人が知っている話だと思います。)


 では続いて、底を切る紀州釣りの場合のアタリの伝達感度について考えてみましょう。


 底を切る紀州釣りは、ほとんどの場合、ダンゴが割れた瞬間が勝負です。その瞬間が最もクロダイが釣れやすく、その後仕掛けを流してもクロダイが釣れる確率は低いです。
 なので、底を切る紀州釣りでは、ダンゴが割れた瞬間のアタリの伝達感度が重要です。そして上図を見てわかる通り、フロートでもサスペンドでもシンキングでも、ダンゴが割れた瞬間の糸の漂い方は同じなので、アタリの伝達感度は同じです。糸が真っ直ぐなので、魚のアタリはダイレクトにウキへ伝わります。


 そして最後に、ハワセる紀州釣りの場合のアタリの伝達感度を考えてみましょう。



 図の通り、フロートタイプには糸自体に浮力が存在するので歪曲し、その糸が直線になるまでアタリが出にくいです。つまりハワセる紀州釣りにはあまり向かないということです。
(ご注意。フロートのアタリはサスペンドより出づらいだけで、出ないわけではありません。フロートでも潮に押されて抵抗が生まれれば、十分アタリは出ます)

 では、これまでの考察をまとめてみましょう。


 そして「風や潮の影響」という項目は、釣り人とウキの距離が近ければ影響を軽減することができます。
 だから結論としては……

 底を切るなら → フロートタイプが良い。
 ハワセるなら → サスペンドタイプが良い。
 遠投するなら → シンキングタイプが良い。

 ……となるわけです。

 そして、道糸の視認性も重要です。
 いま道糸がどのように海に漂っているか、良く見えないと釣りが難しくなります。なので、視認性の良い色を選んでください。
 実は「視認性の良い色」というのはかなり個人差があります。

 以前管理人がツイッターで見やすい道糸の色をアンケートをしたのですが……

 ・赤系が見やすい 20%
 ・黄色系が見やすい 30%
 ・緑系が見やすい 30%
 ・その他 20%

 ……と、見事にバラけてしまいました。(管理人は断然緑が見やすいです)
 なので、初心者は多様な色の道糸を買って実際に試してみるしかありません。
 自分なりの視認性の良い色を見つけ出してください。


 ・商品紹介
 紀州釣り専用道糸例 → ラインシステム(LINESYSTEM)紀州釣り専用ライン






 

・ウキ



 紀州釣りの要とも言えるウキについて。

 いつもの通り、結論から言うと……

 寝ウキ → ハワセる釣りに最適
 棒ウキ → オールマイティ
 玉ウキ → 底を切る釣りに最適

(この辺のウキの特徴と、状況に応じたウキの選択方法はかなりの長文になるので、また改めて実技編で解説します)


 初心者はどの種類でもいいから、まずは1種類のウキをとことん使い慣れて、海中の状況を正確に判断できるようになることが大切です。

 紀州釣りは判断力がなにより求められます。
 ダンゴが海底に沈んだのを見極め、ダンゴアタリを見極め、ダンゴが割れたのを見極め、クロダイの本アタリを見極めなければなりません。
 いろんな種類のウキでこれら全ての状況を把握するのは、初心者には難しいと言わざるを得ません。もしそれができるのならば、その人は初心者ではありません。初心者はまず1種類のウキをとことん使い慣れて、少しでも判断力を身につけることが大事です。


 あれこれといろんなウキを試すと、情報過多になってしまい、判断が難しくなります。たとえばダンゴが割れた場合における寝ウキの表情と、棒ウキの表情と、玉ウキの表情はみなそれぞれ異なります。
 いろんな種類のウキの表情を、初心者がいきなり全て見極めるのは無理だと断言してもいいです。
 なので初心者は無理せず、まず1種類のウキを極めてから他のウキへと手を広げていきましょう。それが上手になるための一番の近道です。

 ダンゴがまだ割れていないのか? 割れているのか? ウキが沈んだとしても、それは波にのまれただけなのか? 魚のアタリなのか? これら全てを判断できるまで、1種類のウキを使い続けましょう。

 ここで注意しますが、使い続けなければならないのは「1つのウキ」ではありません。「1種類のウキ」です。つまり同じ種類のウキなら、SサイズとかMサイズとか、3Bだとか5Bだとか、いろんな浮力のウキを揃えて使いましょう。
 そして水深5mの釣り場なら、Sサイズはムリだけど、Mサイズなら動きが見極めることができる。水深10mの釣り場なら3Bのウキはムリだけど、5Bのウキなら正確にウキの動きを見極めることができる……という風になることができればOKです。他の種類のウキも使ってみましょう。

   
 最後に念のためもう一度言いますが、寝ウキでも棒ウキでも玉ウキでも使うのは自由ですが、必ず紀州釣り専用のウキを使ってくださいね。
 →ウキだけは紀州釣り専用の物を買わなければならない、その理由

 ・商品紹介
 寝ウキ例 → 釣武者(TsuriMusha)超ねうき
 棒ウキ例 → 釣武者(TsuriMusha)永易ウキ

《オススメ》 
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