【総合編1:水中撮影1】


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水中撮影

・本当にサシエサは動いていない


 2023年3月下旬。神奈川県のある場所で、2回、水中撮影をしながら紀州釣りをしてみました。

 最初に、最大の発見を発表します。
 このとき管理人は着底後2分30秒で割れるダンゴを握っていました。
 しかしウキ下を大きく広げれば、着底後4分間(ダンゴが割れてから1分30秒の間)サシエサはまったく動いていないことが観測できました。

水中映像
水中映像
水中映像


 これまで管理人は、どんなにウキ下を大きく広げても、ダンゴが割れて時間が経ったら、海底の海流に糸やサシエサが引っ張られて、サシエサは数十センチ流されているのだろうと予想していました。
 
 しかし今回の撮影で、その予想が覆されました。
 ダンゴが割れる時間になっても、サシエサが海中に飛び出しているとは限らないのです。

 説明

 
 海底に沈んだダンゴは泡を出しながら崩壊し、山なりの形に変化します。そしてそのサシエサの上に積み重なったダンゴ材が重しとなって、サシエサが潮に流されるのを防止しているようでした。
 このとき潮は1分間で2m動く程度でした。つまりこの潮の速さならば、ウキ下を広げれば、サシエサを完全に留めるのは可能ということです。


 どのくらい潮が速いと、ウキ下を十分に広げても、ダンゴの崩壊後、糸の抵抗によってサシエサが動いてしまうのか。これが今後の研究課題です。
 管理人は「1分間に5m以上潮が動くとき、糸の抵抗だけでサシエサが動く」と予想しています。その根拠は1分間に5m以下の速度のとき、よくクロダイを釣った経験があり、それを超えた速度のときはほとんどクロダイを釣った経験がないからです。
 潮が分速5m以上速いと、糸の抵抗だけでサシエサが流されてしまうため、クロダイが釣れにくくなるのだ、と管理人は予想します。

 説明

 

 また、この発見によって、さらに新たな発見も生まれました。
 紀州釣りでは「サシエサが動き始めるとき、よく釣れる」と言われています。(ウキがどの位置まで流されると、サシエサが動き始めると判断できるのか。それはこちらの記事で解説しているので、ご参照ください)
 実際にウキの位置によって、「サシエサをそろそろ引っ張る頃だな」と知ることができる頃に釣れることが多いです。
 
 管理人は、海底で自然に漂っているサシエサが、突然いままでとは違う動きをし始めるから、魚が反応して食ってくるのだと解釈していました。
 しかし今回の発見で、必ずしもその解釈通りではないと知りました。

 ウキが流されると、山なりに積もったダンゴ材から、サシエサが小さな煙幕と共に飛び出てきます。
 つまり、「ダンゴ材の山から抜け出して、海中に現れることによってサシエサを食うのだ」という解釈もあるのです。
 これが第二の大きな発見でした。

説明

 
 

区切り


 

・撮影方法


 そもそもこの撮影は、まだ寒い3月の時季に、生命感がない海でもダンゴを投じていればクロダイは寄ってくるのか、それを確かめるために実施しました。
 撮影機材は以下の写真の通りです。GoPro(ゴープロ)という水中撮影にも耐えられるカメラを買い、土台を自作して撮影しました。
(このカメラ、買ったのは2015年で、当時Amazonで1万8千円くらいしました。高い! なのに撮影が面倒になって、何年もずっと放置していました)
 
 ↓カメラ(結束バンドで木の台座に取り付けてあり、これを白い棚に取り付ける)
水中映像

 
 ↓白い棚にカメラを取り付けて、トンボを通したヒモで海底に沈める。
水中映像 
 
 トンボなしで、素手でカメラを沈めると、岩壁の貝や海藻にロープが引っかかります。なので、トンボを自作しました。
 また、トンボがないと海底のカメラがどっちを向いているのか、調整が難しいです。トンボがあるから、カメラを正面に向けることができました。


 海底に設置後、カメラの1~2m先にダンゴが沈むように、コントロールに気をつけながら釣りを2時間半程度続けました。カメラの電池が2時間半しか持たないためです。
 これを2回実施しました。
(撮影に成功したのが2回で、実際は5回やりました。試行錯誤することで「トンボが必要だ」とか「ダンゴはもっと近くに投げよう」とか、いろいろわかってきたのです)
 
 

区切り


 

・その他の発見


 最大の発見は、冒頭ですでに紹介した通りです。ここではその他に発見した事実を箇条書きします。

・濁っているときは1m先程度しか見えない。(水深7m程度)
・しかし地上にいるとわからないが、海底の透明度は頻繁に変化している。10分経てば確実に変わっていると言い切れるほどだった。

↓濁っているとき 水中映像

↓透明度が高いとき(同じ日、同じ場所、同じ画角)
水中映像

     
・潮は流れて止まる、流れて止まるを2~3秒の間隔で繰り返している。海中にはゴミ(おそらくプランクトン)が無数に浮いているため、それがカメラの前で流される様子で、速度がわかった。

・このとき管理人は魚が一匹もいないと感じ、予想していた。それは軽く握ったダンゴが2分も割れずに持ち、サシエサは何も食われなかったからだ。生命反応がないため、何もいないと判断した。その判断は正しかった。ほとんどの時間、魚一匹、映っていなかった。ときどきフグやアジがカメラの前を通過するだけ。ダンゴに興味を示して集まってくる魚は一匹もいなかった。

↓ダンゴを投げ始めて1時間後の様子。全く魚がいない。(ダンゴがべちゃべちゃになるくらい、アミエビを多く入れていたのに)
水中映像


・ダンゴはどんなに同じ場所に着底させようとしても、半径50センチくらいの範囲で、どうしても誤差が生じるとわかった。

・海底に残置されたダンゴ材は、煙幕を立てず、ほとんどその形のまま、いつまでも残るようだった。2時間経っても、残置された様子は変わらなかった。

・ダンゴは海底に着くと、泡をだしながら、崩壊し始める。崩壊するときが最も煙幕を生じさせていた。
 

 ↓ダンゴの様子をまとめて
水中映像
水中映像
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区切り


 

・今後の予定


 もともと「ダンゴを投げ始めてから何分でクロダイが寄って来るのか」それを知るために撮影したのですが、その目的はまだ達成できていません。すでに2回、つまり合計5時間撮影したのですが、クロダイは一匹も映っていませんでした。春は夕方になるとクロダイが釣れる場所なのですが、夕方の水中は特に暗いので撮影できません。どうも時季が悪いようです。
 次は夏か秋に水中撮影をしてみる予定です。
 
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